
任天堂が2025年10月7日・8日に2日連続で公開したショートムービー『Close to you』が、ファンの間で話題を呼んでいます。とりわけ注目されたのは、第2弾の映像にて「ピクミンたち」が登場した点です。
この映像が、ニンテンドーピクチャーズ制作による初のショートムービーであることも明らかになり、単なるティーザーを超えた“任天堂の新たな表現”として注目されています。
本記事では、この『Close to you』が持つ意味と意図、そして任天堂がピクミンに込めた新たな哲学を読み解いていきます。
ピクミンとは

『ピクミン』は、任天堂が開発・販売するリアルタイムストラテジーアクションゲームシリーズ。
小さな生き物「ピクミン」を指揮し、探索・運搬・バトルなどを行いながら未知の惑星を冒険していきます。
プレイヤーは指揮官となって、多種多様なピクミンたちの特性を活かし、障害を乗り越えていくのが特徴です。
「見えなかったピクミン」が描く新たな演出

まず注目すべきは、第1弾の映像にピクミンの姿が一切映っていなかったことです。映像は、赤ちゃんが動き出すシンプルな日常の一コマを描いた内容であり、タイトルの「Close to you(あなたのそばに)」ともマッチしています。
しかし第2弾では、その“赤ちゃんの行動の裏”に、実はピクミンたちが関与していたことが明かされています。赤ちゃんが追いかけていたおしゃぶりは、ピクミンたちが運んでいたもの。つまり第1弾は「ピクミンが“見えていない状態”での世界」、第2弾は「その裏側=ピクミンがいた視点」を描いたセット構成になっていました。
この“不可視な存在”としてのピクミンの描写が、今回の映像演出で最も秀逸なポイントです。
ピクミンの“哲学”と本作のリンク
そもそも『ピクミン』シリーズにおいて、ピクミンは「人間には気づかれない小さな存在」であり、プレイヤーは指揮官として彼らを操作する立場にあります。
環境と共存し、目立たぬように振る舞いながら、人知れず世界を変えていきます。
つまり、“見えないけれど、確かにそばにいる存在”というテーマは、ピクミンの核心を突く設定です。
今回の『Close to you』では、そのテーマを現実世界の映像文脈に落とし込み、赤ちゃんの日常を通じて「そばにいるけど見えない存在」としてのピクミンを描写することに成功しています。
このような手法は、単なるゲーム紹介を超えた「キャラクター哲学の可視化」と言えるでしょう。
なぜ今“映像作品”なのか?任天堂の新たな試み

このショートムービーは、ゲームではなく純粋な映像作品として制作された点でも注目されています。しかも、任天堂の100%子会社であるニンテンドーピクチャーズが手掛けたという背景が、今後の任天堂のIP戦略の変化を感じさせます。
これまでにも任天堂は『ピクミン3デラックス』や『ピクミン4』などのゲーム内やプロモーションでCGアニメ風演出を取り入れてきましたが、完全にストーリー性のある映像作品としてピクミンを描くのは初です。
しかも、“ナレーションなし・テキストなし”という、視覚と音のみで世界を伝える方法は、映像の美しさとメッセージ性に自信があるからこそできる表現でもあります。
この背景には、今後の「映像×ゲーム」統合型コンテンツや、次世代ハード(Nintendo Switch 2など)への布石という読みも成り立ちます。
ティーザーか?予告か?『Close to you』が示す可能性

気になるのは、この『Close to you』が今後何を意味するのかという点です。
主に、以下のような可能性がファンや業界から指摘されています。
とくに『ピクミン4』ではシリーズ初となる“人間の家庭内”での探索ステージが登場しており、今回の映像に映る室内空間の描写や家具サイズのスケール感がそれを連想させます。
また、Nintendo Switch 2ではより高精細な映像表現が可能になるとされており、そのデモ映像的役割を担っている可能性も否めません。
SNSの反応
「物が運ばれるような動き」や「おしゃぶりが浮くような演出」に対して、「あれピクミンが動かしてるのでは?」という予想が多数投稿されていました。
また、映像の一部分(たとえばベッドの下の影)を指して、「赤ピクミンが隠れてる?」といったコメントも散見されました。
そのほかにも、
「尊くて泣きました」
「うちの子が初めて立った時を思い出した」
「一連の映像で感情を動かされた」
「余韻が残る」
等のコメントが多く見受けられました。
まとめ:『Close to you』が提示した「新しい任天堂」
10月7日・8日の2日間にわたり公開されたショートムービー『Close to you』。
本記事では、その映像が内包する意味や意図、そして任天堂がピクミンという作品に込めた新たな哲学について読み解いてきました。
それではここで、本記事で紹介したポイントをおさらいしてみましょう。
・『Close to you』は、ニンテンドーピクチャーズ初のショートムービーであり、ピクミンの存在を“見えない”形で描写。
・視点の切り替え構造で、プレイヤー(視聴者)に気づきを与える仕掛けが特徴。
・映像作品としての完成度が高く、次世代コンテンツやSwitch 2向けの実験的役割も見られます。
・任天堂のIP戦略が、ゲームの枠を超えて展開される兆候とも読めます。
今後、『Close to you』のような映像コンテンツが増えていくことで、任天堂作品の世界はより多層的で、生活に寄り添うものになるかもしれません。
ピクミンたちは見えないだけで、今もあなたのそばにいます。
関連情報
・任天堂公式サイト(Nintendo公式)
→ 任天堂の最新ニュース、タイトル情報、映像作品などを確認できます。
・ニンテンドーピクチャーズ公式サイト
→ 映像制作部門「Nintendo Pictures」の紹介ページ。『Close to you』の制作背景を知る手がかりに。
・ピクミンシリーズ公式ページ
→ シリーズ全体の概要、最新作『ピクミン4』の情報などを掲載。
・任天堂公式YouTubeチャンネル
→『Close to you』第1弾・第2弾が公開中。その他、ピクミン関連の映像も多数。
・任天堂公式X(旧Twitter)
→ 映像公開時の投稿やファンのコメントが見られます。

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