「そういえばあの謎の少女、なんで他でもないルルーシュを選んだんだっけ」――『コードギアス 反逆のルルーシュ』を見返すと、意外とそこがぼんやりしている人は多いはずです。新宿ゲットーには他にも大人の兵士や抵抗組織のメンバーがいたのに、契約者になったのはまだ学生の少年でした。
契約の瞬間――新宿ゲットーで交わされた「絶対遵守」
物語の始まりは、ブリタニア軍が化学兵器「FLEIJA」を隠すために封鎖した新宿ゲットーです。偶然その現場に迷い込んだルルーシュは、拘束されていた謎の少女C.C.と遭遇します。兵士の銃撃から彼を庇う形になったC.C.は、そのまま意識を失ったルルーシュに契約を持ちかけ、「絶対遵守」のギアス――相手に一度だけ絶対の命令を下せる力――を発現させました。見返りとして彼女が求めたのは、後で一つだけ願いを叶えてもらうことです。
この時点でC.C.がルルーシュに語った素性はほとんどありません。彼女は名前も年齢も明かさず、「C.C.」という呼び名だけを名乗ります。物語の序盤では、彼女がただの便乗者ではなく、ルルーシュの戦いそのものに深く関わる存在だとはまだ示されていません。
C.C.(シーツー)とは何者か――奴隷から魔女へ、繰り返される「死」とコードの呪い
C.C.の正体は、物語が進むにつれて少しずつ明かされます。彼女の額には「コード」と呼ばれる印があり、これは不死の証です。回想で描かれるのは、中世ヨーロッパで奴隷の子どもとして生きていた頃の彼女の姿です。倒れていた彼女を見つけたのは、同じく不死の力を持つギアス教団の人物で、彼女に「誰からも愛される」というギアスを与えました。
ところがこのギアスは彼女を幸福にはしませんでした。誰からも愛されるがゆえに、彼女を巡って奪い合いが起き、関わった人間が次々と不幸になっていく描写が回想に挿入されます。そしてその果てに、C.C.自身にコードが刻まれ、不死の体になってしまいました。回想シーンでは、戦場で命を落とす場面、火刑に処される場面、鉄の処刑具にかけられる場面、ギロチンにかけられる場面が重ねて描かれ、そのたびに彼女が生き返ってきたことが示されます。死ねないことそのものが、彼女にとって最大の呪いだったという描き方です。
この「不死の体で、誰かにコードを押しつけて自分だけ死にたい」という願いが、C.C.がルルーシュに求めた「一つの願い」の正体です。物語後半で彼女がルルーシュに「もし私が死にたいと言ったら、殺してほしい」と頼む場面があり、序盤の契約が一本の線でつながっていることが分かります。
ギアス教団・マリアンヌ・V.V.との過去――C.C.が去った理由
C.C.はかつて、ギアス教団の中で「神を殺す計画」に関わっていた人物でもあります。この計画には、ルルーシュの母であるマリアンヌ・ヴィ・ブリタニアと、皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの双子の兄であるV.V.も加わっていました。C.C.は教団の中で名目上の「嚮主」の座にありながら、長い時間をそこで過ごしていたことが描かれています。
しかし、マリアンヌが実際にどのように命を落としたのか、その経緯を知ったことが転機になります。この事実を知った後、C.C.は嚮主の座をV.V.に譲り、教団から離れる道を選びました。物語後半でルルーシュがシャルルやV.V.の計画と対峙する展開は、C.C.がかつて同じ陣営にいながら決別した相手との再会でもあるわけです。
さらに物語の後半では、C.C.がコードをシャルルに譲り渡そうとする場面が描かれますが、ルルーシュに説得されてそれを止めます。思考エレベーターから脱出した後、マリアンヌを通じて自分の記憶を取り戻し、最終決戦では母マリアンヌとシャルルからの誘いを拒む選択をしました。この一連の流れからも、C.C.が「教団の論理」ではなく「ルルーシュとの契約」を最後まで優先したことが読み取れます。
ここからは筆者の見立て:C.C.がルルーシュを選んだ本当の理由
ここから先は作中で明示されていない、筆者の読みです。C.C.が新宿ゲットーでルルーシュを選んだのは、偶然そこに居合わせた相手だったからではなく、彼の「本来求める規模」を一瞬で見抜いたからだと筆者は読んでいます。
根拠は、契約直後のルルーシュの動き方です。彼は与えられた絶対遵守のギアスを、自分の身を守るためではなく、新宿ゲットーの住民を見捨てて平然と命令を下す将官クロヴィスの部下たちに向けて使います。個人の安全や金銭ではなく、目の前で理不尽に扱われる人間を助ける方向にギアスを振るうという選択を、契約してすぐの段階でしたわけです。これは、C.C.がそれまで渡ってきた長い年月の中で出会ってきた「不死を押しつけたい相手」たちと、根本的に違う条件です。
C.C.自身の回想では、彼女のコードやギアスを巡って人間たちが奪い合い、欲望や自己保存のために振る回される描写が繰り返されています。だからこそC.C.は、力を手にした瞬間に自分のためではなく他者のために使う人間を、長く探し続けていたと読むべきです。新宿ゲットーでのルルーシュの選択は、その条件に初めて合致した事例だったと考えます。
もう一つの根拠は、C.C.がかつて身を置いた「神を殺す計画」です。あの計画は、理不尽な世界の仕組みそのものを終わらせようとする、個人の利益を超えた規模の企てでした。マリアンヌの死を知って教団を去ったC.C.は、同じ陣営の中にいたはずの人間たちの計画の中身に、もはや同意できなくなっていたはずです。そこに現れたルルーシュが掲げたのは、ブリタニアという国家そのものを変えるという、個人の復讐を超えた規模の目的でした。C.C.はこの目的の大きさに、自分が教団時代に求めていたものの輪郭を重ねたのだと筆者は見ています。
そして最終的に彼女が選んだ願いの行き先も、この見立てを裏づけます。ゼロレクイエムの後、C.C.は一人で教会で涙を流し、旅に出ます。コードを押しつけて自分だけ消えるという当初の願いは、ルルーシュという一人の人間を見届けるという形に変わっていました。『復活のルルーシュ』のラストで、彼女がL.L.と名乗る彼のそばに黒いドレス姿で立つ描写は、契約の相手として選んだルルーシュが、最後まで彼女の求めていた答えそのものだったことを示しています。
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C.C.とルルーシュの関係を本当に腹落ちさせるには、新宿ゲットーの第1話からR2のラストまで、できれば通しで見返すのが一番です。画質が安定していて安心して楽しめる公式配信での視聴をおすすめします。
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まとめ――不死の魔女が、なぜ”ただ一人”を選んだのか
C.C.がルルーシュに与えた「絶対遵守」は、ただの力の授与ではなく、彼女が長い不死の時間の中で探し続けてきた相手への賭けだったというのが、本記事での読みです。奴隷の子どもから魔女と呼ばれる不死の存在になり、教団の仲間とも決別してきたC.C.にとって、新宿ゲットーでの出会いは、ようやく条件に合う相手を見つけた瞬間だったのではないでしょうか。あなたは、C.C.の選択を「孤独な賭け」と見るか、「ようやく出会えた運命」と見るか、どちら派でしょうか。
コードギアスについては、以下の記事も合わせて読むとより理解が深まります。

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