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2014年07月10日(木) 
第三十六話「地域づくり応援員による地域づくり人材つなぎ」

総務省は、都市住民を地元に受け入れて、地域おこし活動の支援や農林漁業の応援、住民の生活支援など幅広い「地域協力活動」に従事させる地方自治体に、一定の財政支援を行う「地域おこし協力隊」事業を2019年度から始めている。初年度は、31の自治体に89人が派遣されたが、5年目の2013年度には318自治体で978人の隊員が「農林水産・産業」「環境」「医療・福祉」「観光」「教育」「情報通信」などの分野で地域づくりに貢献している。

「都会を離れて地方で生活したい」「地域社会に貢献したい」「人とのつながりを大切にして生きていきたい」「自然と共存したい」など、都市に住む人たちがさまざまな理由で豊かな自然環境や歴史、文化等に恵まれた「地方」に注目している。地域おこし協力隊は、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方で、地域外の人材を積極的に誘致し、その定住・定着を図ることで、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とする取り組み。沖縄県内でも、糸満市、沖縄市、国頭村、渡名喜村をはじめとする多くの自治体がこの制度を活用して地域おこしに取り組んでいる。

沖縄県地域・離島課では、県内各地にちらばる地域づくり人材や地域おこし協力隊員による人的ネットワークづくりを行い、島嶼地域というハンデキャップを乗り越えた地域づくりのプラットフォーム基盤を構築すべく、地域づくり応援員と地域SNS「ゆいゆいSNS」の運用を始めた。岡本は同僚の吉野ゆかり(32)とともに、地域づくり応援員として沖縄本島はもちろん文字通り各離島を飛び回って(船が多いが)「人つなぎ」に奔走していた。

「すぬこには人たらしの才能があるのか、わしらのような地元の頑固な爺さんたちの懐にもふわっと入ってきよる。なにより、それぞれの持つ経験や技能、人脈まで見通して、新しくて面白いことを提案してきてのう。若い頃の地域づくりの情熱が沸き立つような気にさせるんじゃ」。屋比久が語るように、岡本にはつながりを橋渡しするネットワーク・ブリッジのセンスが備わっていた。地域づくり応援員として沖縄に来るまでは、地元宮崎でコミュニティ活動に携わってきた。狭い路地や怪しげな裏道が好きという変わり者で、なにより沖縄が大好き。沖縄県の応援員公募を知ると迷わず応募し、非常に高い競争率の中を勝ち抜いて採用された。

「しかしのう、爺さんたちは素直じゃないんで、いつもついついいじわるを言ってしまう。きっと嫌われとるじゃろうな~」。泰子のとなりに座っていたさと子が、岡本の出身が宮崎だと聞いて席を立ち、しばらく楽しく話し込んで戻ってきた。「すぬこさん、宮崎県でも宮崎市内らしくて、延岡の私とは同県人でもいろいろ違うみたい。応援隊員になって、いろいろな離島に仕事で行けるから夢みてるみたいに楽しいんだって。そこでなかなか会えないような方と仲良くしてもらえるのが最高らしいわ。紫外線とハブには困るけど、屋比久お爺ちゃんたちのこと、尊敬できる素晴らしい人たちばかりだから大好きだって言ってたよ♪」。照れ笑いを浮かべた屋比久は、これまでのことを反省してもっと素直になって岡本に接していこうと心に決めた。

「なーりーのお母さん、お変わりはない?」。オトーリが二巡目を終わろうとしている頃、池間は高田を捕まえて語りかけた。高田の母は竹富島でピーチパインの農園を営んでいる。完熟の実から桃のようなあまい香りがすることから「ピーチパイン」と呼ばれるのは「ソフトタッチ」というパインの品種。乳白色の果肉は普通に国内に流通しているものと比べて酸味が少なく、甘みが非常に強い。果実は小ぶりで芯も柔らかく食べて美味しい。果肉には、食物繊維、カリウム、ビタミン類、クエン酸がたくさん含まれている。1998年に初めて登録・公表された沖縄原産の新品種で、栽培には酸性土壌が適しているために、石垣諸島・西表島・沖縄本島北部でしか作られていない。まだ生産農家が少なく、植え付けから収穫まで約2年かかり、さらに出荷時期も短いため市場にはほとんど出回わらず、多くは本土向けに出荷している。

「もう引退してもいいのに、身体が元気にうちはしっかり働くという主義で、いまでも元気に農作業に出掛けてる。でもピーチパインは収穫が一度に重なるので、体力的に限界があってロスを出すのが残念ってぼやいてるよ」。高田も一緒に手伝うのだが、勤務する竹富町役場が石垣島にあるため、どうしても普段から手助けしてあげることができなくて申し訳ないとつぶやいた。「だったらこのあと、泰子に相談してみない。彼女のレストランで取り組み始めた『とらぽん』っていう仕組み、なにかの理由で悩んでいる農家のサポートもしてくれるみたいよ。なーりーの自宅、柔道部の合宿ができるくらい大きいから、「パイン食べ放題」をキャッチに本土から収穫作業ボランティアを民泊で募って、うちの完熟マンゴーみたいにまとめて直売するなんてアイデアもありかも♪」。オトーシが三巡目に入って意味不明に盛り上がってきたので、池間と高田と泰子とさと子、そして話しを聞き連れたすぬこが農家民泊の実践者・松原を伴って、脇のテーブルに集まって早速作戦会議に入った。

つづく

この物語は、すべてフィクションです。同姓同名の登場人物がいても、本人に問い合わせはしないでください(笑)

★臨時休載のお知らせ★
台風8号の影響で飛行機が飛ぶかどうか心配でしたが、なんとか大丈夫な様子なので、明日から沖縄・宮古島に出張してきます。本連載については、数日おやすみをさせて頂きますので、ご了承の程をよろしくお願いします。

閲覧数439 カテゴリ日記 投稿日時2014/07/10 06:04
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